京都市芸術文化協会とは

協会のミッションと中期ビジョン

ミッションおよび中期ビジョン(2021年度〜2026年度)の策定について

当協会は、1959年に京都市文化団体懇話会として発足し、1981年に財団法人として設立されて以来、京都の様々な文化・芸術の実践者、実演家、研究者等による会員組織(会員数=個人・団体数)としてのネットワークを活かし、文化・芸術に関する多彩な事業を実施しています。また、京都市における文化芸術の創造拠点である京都芸術センターを2000年の開設当初から運営しています。

このたび、財団創立40周年を機に、文化・芸術を専門とする公益財団としてのミッション(社会的な使命)を再確認し、2026年度までの中期ビジョン(めざすべき5年後の姿)を策定しました。このミッションならびに中期ビジョンは、世界的に経済・社会の仕組みやライフスタイルの急激な変化が進む中、「世界文化自由都市宣言」に謳われた理念を追求する京都市において、当協会が文化・芸術を専門とする公益財団法人として歩みを進める上で、常に立ち戻るものです。

ミッションならびに中期ビジョンの実現に向けて、役員、職員、会員が力を集め着実に取り組みを進めて参ります。

ミッション(協会の使命)

新たな工夫や発想をもたらす「創造力」と、
他者や見えないもの、そして未来を想う「想像力」が
暮らしに息づく社会の実現を目指して

・あらゆる表現の創作や発表の現場と共に歩み支える。

・文化芸術の交流の結節点(ハブ)として、人々のつながりを育む。

・地域に根差した文化芸術を未来につなぐ。

中期ビジョン(5年後にありたい姿)

文化芸術を軸としたネットワークハブとなる

・京都を拠点とするアーティストや文化芸術団体をはじめ、分野や世代に関わらず、他都市や海外にも広がる幅広い交流を生み出している

・文化芸術のネットワークを軸に、経済、福祉、教育、医療、学術など異なる分野の人や組織をつなぎ、さまざまな協働のきっかけを生み出している

・文化芸術活動を支える専門的な組織として、実践者を支え、理解者を増やし、調査研究を通して、より活動しやすい環境や制度の実現に貢献している

アクション(活動の柱)

ミッション、ビジョンの達成に向け、4つの活動の柱に基づいた事業を展開します。

つながる/つなげる(交流の場づくり)文化施設の運営、会員制度、ネットワーキング

人づくり(学びの機会づくり)講座、研修、ワークショップ

ささえる(文化芸術の支援)相談窓口、情報提供、仕組みづくり

調べる/理解する(調査・研究)リサーチ・検証、アーカイブ、政策提言

ミッション ならびに中期ビジョンの策定にあたって

財団創立40周年を機に、協会のミッションを定め、また今後5年間の中期ビジョンを策定するにあたり、わたしたちは文化芸術の意義、役割について次のように考えます。

一人一人の生にとって文化芸術と呼ばれるものは、すべての人が持つ想像力/創造力の発露です。それらを通して、美しさや愉しさに出会うこと、励ましや癒しを受け取ること、また、自己のうちに強さや優しさを見出すこと、世界の広さと複雑さに触れることは、わたしたち一人ひとりに健全な自己肯定と生きる喜びや勇気を与えます。

他者との共生にとって文化芸術は、本質的に多様性を尊重する営みです。さまざまな表現、個性、あり方に価値を見出し、共有します。時には理解できないものに出会っても、それを排除するのではなく、想像し、受け止める力や態度に価値を置きます。この文化芸術が持つ包容力と寛容性は、他者を内側から理解し共感を育むことで、社会において互いに尊重し合う心、他者と協働する力となって、包摂的な社会の基盤を整えます。

共同体の活力にとって文化芸術は、人と人、コミュニティとコミュニティにつながりを織りなし、都市や地域における有形・無形の社会的資源を生み出します。文化芸術が尊重する、既成の枠組みを超える創造、思考と実験、そして新たな発想と挑戦は、社会発展の原動力となる共同体の活力を高めるイノベーションの源泉です。

持続可能な発展にとって気候変動や環境破壊が深刻化する現代において、文化芸術を通して自然や生命の人智を超えた節理に思いを馳せ、それらに対して畏敬の念を持つことは、経済性や効率性を過度に優先する価値観や利己主義を問い直し、誰ひとり取り残さぬ持続可能な発展のために重要な視座をもたらします。

希望に満ちた未来にとって同時代に生きる人のさまざまな表現や活動、そして既存の価値を問う試みは、今はたとえ未熟であったとしても、新たな文化的財産を形づくる萌芽となるものです。また、歴史の中で培われ、現代に受け継がれる卓越した技術・豊かな表現・深い思索を包含する文化芸術は世代を超える人類の財産として、現代を生きるわたしたち、そして将来の世代にとって未来を拓く力となり、希望となるものです。

人間性のある文明にとって、テクノロジーのさらなる進歩が社会の富と利便性を増す過程において、それが人間性を損なうことなく、むしろ人間性の維持強化に貢献するためには、わたしたち自身が「人間とは何か」についての深い洞察力を持たねばなりません。その支えとなるのが文化芸術を含む人類の叡智の結晶である人文知であり、そうした認識を社会に浸透させること、それが未来に対するわたしたちの重要な責務です。

2021年9月30日
公益財団法人京都市芸術文化協会
中長期ビジョン策定プロジェクト委員会